日本では、安心・安全なものを求める方を中心に人気が高まってきたホメオパシー。
ホメオパシーとは、自らの力で動き出し、治癒に向かっていく療法です。
あなたは、ホメオパシーについてこんなことを思ったことはありませんか?
- なんだか良さそう、または、なんだか怪しそうなので、ちゃんと知りたい
- レメディってなに?
- レメディってどうやって選ぶの? どうやってとるの?
ホメオパシーでは、自然治癒力にスイッチをいれるために「レメディ」と呼ばれるものを使います。
そのため、レメディはホメオパシーの代名詞のように考えられていますが、断片的にレメディだけについて調べていては、十分に理解することも、役立てることもできません。
私のホメオパシー体験は、今から30年ほど前、薬剤師の先輩に「喉の痛みにはコーラが効くからやってみ!マジで」と言われたことでした。
ここでは、4年制ホメオパシースクールで国内外講師から理論や臨床を学びホメオパスになった薬剤師が、体験談も交えながら、
- ホメオパシーとは
- レメディとは
- レメディの選び方・とり方
までを、3つのステップに分けてわかりやすく解説します。
もっと詳しく知りたいというあなたのために、初級講座でお伝えすることも載せています。
この記事を読み終わる頃には、きっとあなたも自分や家族の健康のためにホメオパシーを取り入れてみたくなります。
1.【きほんのキ】ホメオパシーとは
植物、鉱物、動物などからつくられたレメディ(ホメオパシーの薬)を使い、あなた自身の力で健康な状態に戻っていくきっかけを与える療法です。
レメディのはたらきかけを、ホメオパシー(Homeoapathy)という名前であらわしています。
日本語では、「似たものが似たものを癒す」という意味をもち、これは基礎となり実践していくうえでもとても大切な考え方になります。
1-1.柱となる考え方|似たものが似たものを癒す
30年前に、薬剤師の先輩が教えてくれた「コーラはのどの痛みに効く」は正にこれでした。
喉を通る時にビリビリと強い刺激を感じる炭酸を含んだコーラは、喉のイガイガした感じと非常によく似ていたのです。
当時、同じ職場の薬剤師、事務員は半信半疑でしたが、この方法を試した人は、それ以上風邪が進行せず自然治癒することを体験しました。
喉から風邪を引くタイプの私はすっかりこれが気に入り、ホメオパシーを知るまでは、風邪の初期はコーラを飲んで事なきを得ていました。
一見わかりにくいようにも思えますが、日本でも喉がイガイガした時に生姜湯を飲むことによって痛みを緩和する「似たものが似たものを癒す」を昔から取り入れています。
また、失恋した時、辛い経験をした時、悲しい時には、同じような経験が歌われたようなものを聞き、悲しみにひたるということはありませんか?
気が済むまで聞いているうちに、やがて元気を取り戻してくることでしょう。
このように、日常でも「似たものが似たものを癒す」を私たちは経験しているのです。
1-2.さらに詳しく|ホメオパシーの基礎 誕生~理論~発展へ
ホメオパシー(Homeopathy)とは、
「似たもの(homoios)」
「病・苦しみ(patheia)」
というギリシャ語が語源で、創始者であるドイツの医師サミュエル・ハーネマン(1755-1843)が体系づけた療法です。
この療法を生み出す原動力となったのは以下の二つでした。
現代医学(当時の)に対する嘆き
語学力の高さ
ハーネマンが医師になった17世紀医療の中心は、瀉血*(しゃけつ)、瀉下*(しゃげ)、水銀などの有毒物質が多く使われていました。
*瀉血、瀉下:病気は悪いものによっておこる。だからそれを除けばよいという考え方で、血を抜いたり、無理に下痢をおこさせ体外に排出させること。
しかし、この治療によって多くの人が命を落としてしまいました。
抗生物質の発見や、麻酔による外科手術が成功したのは18世紀になってからで、まだこの頃にはありませんでした。
この残酷な療法に幻滅したハーネマンは、臨床現場を離れ研究や著述をし、また幼少期から優れていた語学力を活かして海外医薬書の翻訳をすることにしました。
翻訳を始めた頃、当時、最高の医師とされていたウィリアム・カレンの書に20ページにも渡って、マラリアの特効薬であるキナ*について書かれているのを見つけました。
*アンデス山脈に自生するアカネ科の樹木
そこには、「キナの樹皮は非常に苦いので、苦さが胃の収斂(しゅうれん)作用を引き起こしてマラリアが治る」と書かれていました。
ハーネマンはこの記述について大いに疑問を持ちました。
なぜなら、ハーネマンはマラリアで苦しんでいる多くの人に、もっと苦いものを試しても効果がないことを知っていたからです。
たくさんの苦いものの中から、なぜ、キナの樹皮だけがマラリアに効果を示すのか…。
論より証拠、ハーネマンはマラリアにはかかっていませんでしたが、このキナの樹皮を取り寄せ、数日間に渡って毎日煎じて飲んでみました。
するとどうでしょう。ハーネマンの体は変化し始めました。
- 足先や指先が冷たくなり、だるさを感じ、眠くなってきた。
- 動悸もし始めた。
- どうしようもない不安感に襲われる。
- 体が震え、脱力状態になった。
- 頭はガンガンし、顔はほてり、喉が渇いてきた。
- やがて衰弱する。
このように詳細に記録を取っていきました。実はこれは、マラリアの一般的な症状です。
キナの樹皮を煎じて飲むと、このような症状が2〜3時間続き、次第になくなります。
また煎じ薬を飲むと同じような症状が表れます。そして、煎じ薬をやめればもとの健康な体に戻ることができました。
客観性を証明するために、家族や知人にも同じように試してもらいましたが、同じような症状が起こりました。
健康な人に投与して、症状を引き起こせるものは、その症状が出ている病気を治すことができる…??
ハーネマンは、ものすごく慎重で厳蜜な性格でしたので、以後6年ほど同じような方法で検証しました。
検証する物質は、以下を基準に選んでいきました。
- 特効薬と呼ばれるもの
- 先住民族が薬として使用したもの
- 動物が具合の悪い時に口にするもの
- ハーブ医学なども参考
「薬」と言われているものを健康な人が取ると、その薬をつかう病気で現れる症状を引き起こす作用があることを結論付けます。
このような実証を「プルービング(proving)」といいます。
provingはそのまま訳すと「証明する」という意味です。
1-3.意味(基礎)のまとめ
創始者であるドイツの医師ハーネマンが、病気の症状とその薬の関係を、丹念に検証して得られた「症状が始まった大元は何なのか? 何によって症状があらわれたのか? 症状を起こすものこそ、起こったことを解決することができる」という結論を体系づけてホメオパシーとした。
2.【きほんのホ】~レメディとは
「レメディ」とは、あなたの治ろうとする力を刺激し、自分の力で健康な状態に戻っていくきっかけを与えるものです。
レメディは、地球上のあらゆるものを原材料として作られています。
ここでは、ホメオパシーにおけるレメディの役割について解説いたします。
レメディについては奥が深いので、また別なページでご紹介しています!
2-1.柱となる考え方|ひとりひとりの個性
創始者であるドイツの医師ハーネマンが、ホメオパシーの原理に基づき、厳密に検証した薬を「レメディ」と名付けて再び治療にあたりはじめました。
ホメオパシー薬であるレメディの材料として、薬と言われているものの他に毒物など、体に変化を与える物質にも注目しレメディをつくり上げていきました。
時代に合わせて物質を選んでいき、現在レメディの数は3,000種類を越えています。
こんなにもたくさんある中から、どのようにあなたにピッタリ合うもの選ぶのでしょうか?
ホメオパシーでは、身体症状やその人の性格や価値観などの「観察」から、出来事に対しての感受性と受け止める癖などを中心に注目しレメディを選びます。
例えば、寒空の下にいて風邪をひいたとします。
ここでは、以下のような要素を含みます。
- 寒い(冷たい)
- 乾燥
- 風
- 雨または曇り
- 秋または冬(クーラー)」など
風邪をひく人は、これらの要素に対して適応する力が弱っています。
やがてなにかしらの風邪症状がでますが、3~5日もすると感じなくなることがあります。
それは、自分の持っている免疫や修復する力を最大に発揮した結果であり、これが自然治癒力です。
ここまでは、どなたでもイメージできるでしょう。
では次に、同じ状況でも風邪をひく人とひかない人がいますね。
そして、風邪をひいた人で比べると鼻水が出る人、喉が痛くなる人、いきなり熱を出す人など、症状のあらわれ方も個性があります。
ここをなんとなく読み飛ばしてはいけません。
ホメオパシーでは、この何気ない文章に大きな意味をもちます。
- 自分にとって望ましくない状況にある時、または望ましくないと思い込んでいる時に適応力が弱まる
- 自分を侵す要素は一つではない
- 自分の体の中で反応しやすい箇所がある
これらの条件時には、抵抗力すなわち元気度が落ちる傾向にあり、元気度が落ちる原因には「ストレス」があります。
ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。
外部からの刺激は大きく分けると5つあります。
- 環境的要因:天候、音、香り、電磁波など
- 身体的要因:病気や睡眠不足など
- 心理的要因:不安や悩みなど
- 社会的要因:人間関係がうまくいかない、仕事が忙しい、SNSなど
- 年齢的要因:経験、個々の成熟度
つまり、日常の中で起こる様々な変化がストレスの原因になり得るのです。
他にも、進学や就職、昇進、結婚、出産といった喜ばしい出来事でも、変化であり刺激ですからストレスにあたります。
ホメオパシーでは、外部刺激から受けた感覚がベースとなり、出来事に対して、どの程度「その人にとって」影響が大きく、敏感に反応しているのかに注目します。
メンタル面での例えを見てみましょう。
規律が多い環境では窮屈だという方もいれば、規律に沿って進めば良いので安心だと感じる方もいます。
安心だと感じるのであれば、緊張状態ではないはずです。
もっと言うならば、後者は規律がなく自由な環境であるほうが、何をやったらいいのかわからない、ストレスだということです。
このように同じ現象があっても受け取り方には個人差があります。
ストレスは、悪いものではなく活力をみなぎらせるものでもあります。
バランスが崩れ偏り、元に戻せない時に、身体にまで及ぶ辛い症状として見え始めます。
「その人」固有のストレスを知るために、ホメオパシーでは最初に全体性と個別性について丁寧に聞き取ります。
レメディは、時代や国を超えて多くの臨床経験から、固有のキャラクターがあることがわかっています。
そのキャラクターとあなたのキャラクターが近ければ近いほど、『北風と太陽』の「太陽」が影響を与える力は大きくなります。
2-2.さらに詳しく
ホメオパシーでは、何かしらの原因でバランスが崩れて固着してしまった状態を「病」と呼んでいます。
現代でいう、「ストレス」」も多く含みます。
ホメオパシーではさらにもうワンステップ踏み込んで、その人がストレスに感じる根本的な背景に目を向けていきます。
そのためには、幅広くその人を理解するために「全体性」「個別性」を見ていきます。
全体性
問題となっている事柄だけではなく、その方が抱えている他のことも全てを考慮します。
例えば、一年中、アレルギー性鼻炎があるのが悩みだったとしても、便通や歯の問題、関節の具合、ご家庭や職場・学校での人間関係など「木」の細部と「森」に当たる部分もまるごとみます。
個別性
環境による変化、嗜好、思考など、「その人だからこそする表現」を大切にします。
例えば、季節の変わり目になると不調になる方、台風が好きな方、アイスクリームを欠かさず毎日食べる方など。
趣味やお仕事など等、状況は違っても金太郎アメのようにあることがテーマとなってあらわれるもの、理屈では説明のしようがないその人の癖のようなものや、価値観などをみます。
2-3.考え方(理論)のまとめ
レメディには、固有のキャラクターがいます。
一つ一つに、身体的な症状、性格、価値観なども含めて表されています。
そのため、一つのレメディには数百もの効果があると言われています。
さらに詳しく
「レメディについて」のページで詳しく解説しています。
3.【きほんのン】〜レメディの選び方・取り方
ホメオパシーでは、「その人らしさ」を大切にみていく過程で、表面には表れていない根本的な原因を見つけ出し、レメディを合わせていきます。
例えば、風邪をひいた場合。
咳や鼻水のことも詳しくみていきますが、風邪をひくまでの1週間くらいの間にどんなことがあったのかを必ず確認します。
個人に起きることは、その人個人に「なにか揺り動かされるもの」がまずあり、ストレスと感じ、抵抗力を弱らせた結果が風邪となって表現されます。
体に表れている不快な症状、自覚症状はないのに検査で表れる数値、もどかしく感じる人間関係など目に見えることはバラバラで繋がりなどないように思えますが、これらを集結する根本的な原因というのは一つに絞られていきます。
そのため、身体的にも精神的にもその人の症状を網羅している一つのレメディを考えていきます。
あなたの持つ悩みが、あなたならではの不調を示す。
あなたが悩む理由は、あなたが物事を、あなたの法則によって見ているから。
このように、「あなたらさしさ」にフォーカスして、レメディを一つ選びます。
なぜ、一つなのでしょうか。
答えは簡単、「あなた」という存在は一人しかいないからです。
3-1.柱となる考え|一人の人に一つのレメディ
ホメオパシーでは、その人が感じることをベースにみていきます。
冒頭で紹介した「のどの痛みにコーラが効く」というのは、コーラに含まれている、糖分、炭酸、カラメル色素、酸味料、香料、カフェインというような成分が私の細胞にはたらきかけたのではなく、「ビリビリする」「チクチクする」という感覚を刺激したのでした。
この時のコーラは、レメディのはたらきと同じだったのです。
「ビリビリする」「チクチクする」というのは、コーラには欠かすことのできない要素です。
気の抜けたコーラって美味しくないですよね。
そうです、本来のコーラの良さがまったくなくなるわけです。
ですから、「ビリビリする」「チクチクする」というのは、コーラには欠かすことのできない要素なのです。
この「ビリビリする」「チクチクする」感覚だけを取り出して考えると、足が痺れた時にも感じますし、神経痛でも感じます。感電した時も感じるでしょうし、帯状疱疹でも感じます。
レメディのキャラクターと、その人のキャラクターや訴えの質を正しく合わせることができれば、病名に関係なくホメオパシーを役立てることができます。
レメディは、プルービング(綿密な検証をしたもの+臨床経験)と伝統的な製法で作られることが必要です。
3-2.さらに詳しく
全体性・個別性をもとに、ホメオパシーの原理である「似たものが似たものを癒す」レメディを使います。
類似の法則
一見わかりにくいようにも思えますが、私たちは日々「似たものが似たものを癒す」を生活に取り入れています。
先に紹介した生姜湯を飲むことの他にも、メイクを落とす時にクレンジングオイルを使用したり、暑い時に辛い物を食べて汗を出しやすくすることもそうです。
すなわちこれらは、なじみが良いということ。
その人になじみの良いレメディを選ぶことによって、その人の力は存分に発揮され健康に向かいます。
よく、「毒を以て毒を制すということですよね」と解釈される方もいらっしゃいますが、「同じもの」ではなく、「似ているもの」を使用します。
ちなみに今までにも、「例えば、」と話してきました。例え話になるとスッと理解できる、すなわち自分ごとになり大きく響きますよね。
最小投与
ホメオパシーの伝統的な製法で作られた、専門の製薬メーカー*のレメディを使用します。
投与量や回数は、その方の力に届く程度で十分です。
状況や個人差によって違いはありますが、毎日何回も取る必要はありません。
*ホメオパシーsoraでは、イギリスのAinsworths社、HELIOS社のレメディを使用しています。
3-3.取り方(実践)のまとめ
あなたのストレスが何にあるのか、どのように反応して、どこに影響を及ばすか、個人を見ていくのがホメオパシーです。
このことと身体に表現されている症状の2つを詳しく尋ね、プルービングで確証のあるレメディを合わせて使います。
- 慢性病の場合、目に見える症状や様々な角度の観察から、その人の根本的な訴えに合わせたレメディを選ぶ。
- 急性病の場合、変化する症状を丁寧にひろい、厳選し、状況に合わせたレメディを選ぶ。
- いずれも、病名にとらわれずに全体性と個別性を考慮して選ぶ。
レメディをとった後は、どのように変化しているのか観察をして、正しい方向に進んでいることを確認できれば、むやみに何回もとることはありません。
わかりにくい、ご心配な時はどうぞご相談ください。
【まとめ】ホメオパシーとは
不快な症状や目の前に表れる課題は、あなたの人生のクオリティをもっと高めるためのサインです。
あなたの感情や体調を大きくゆり動かすものは、ホメオパシーでは立派な症状であり、健全な方向へ導いてくれる「ありがたくなくてありがたいもの」。
私たちは、問題は外にあると思っています。けれど大抵は、問題は内側にあります。外側の現実は、内側の現実を反映しています。外側を治そうと思っても何も起こらないのはそのためです。外側から何かしても、ある程度のことまでしか起こりません。
ホメオパシーは、ずっと続いていた人生の問題を解決してくれる力があります。
心身の健康は、人生を歩んでいく上で、あなたが持っている力を引き出したり、底上げするために必要なものであることを教えてくれます。
突然の不調やトラブル、しつこく表れるもの、繰り返されるもの、現状を変えたい場合にはいつでも役立てることができます。
ホメオパシーで使うレメディについては他のページで解説しています。